今晩は、ミニキャッパー周平です。第5回ジャンプホラー小説大賞、絶賛募集中です! 6/30の〆切に向けて応募者の皆さん、頑張って下さい! ところで昔はホラー小説を読んだ日は夢見が悪くなったのですが、最近はホラー小説を読んだ翌日に体に何らかのガタが来ていることが時々あります。今日は足がめっちゃ痛い。ホラーがどうとかではなく、たぶんそろそろ老化がきているのではないかと。
さて、本日の一冊は、あざの耕平『ダーティキャッツ・イン・ザ・シティ』。
作者は『Dクラッカーズ』『BLACK
BLOOD BROTHERS』『東京レイヴンズ』などのシリーズをヒットさせた、主にライトノベルレーベルで活躍してきた作家です。
『BLACK BLOOD BROTHERS』は、吸血鬼の実在が人間に知られている世界、人工島上の架空都市を舞台にした作品でしたが、本書の場合はその逆、吸血鬼たちが人間に存在を知られず隠れ住んでいる、現代の東京を舞台にした物語になっています。ホラーというよりはバトルアクションにカテゴライズされるでしょうが、吸血鬼テーマなので広義のホラーと言え、ここでレビューさせて頂く次第です。
東京には人間の知らない吸血鬼コミュニティがある。それは彼らの“狩り場”によって分かれており、新宿のグループと六本木のグループが二大勢力。組織だった抗争はないものの、トラブルは日常茶飯事だった。そんな東京の吸血鬼社会の古株として、彼らの折衝役をつとめていた吸血鬼・シャミが突然行方をくらませた。シャミのねぐらも燃やされ、その死が囁かれ始めたことで、吸血鬼たちは動き出す。ある者はシャミの消息をつきとめるため、ある者は調停者が消えた東京の勢力図を書き換えるため――
そんな折、シャミの古い知人である吸血鬼の男・十二(じゅうに)はねぐらの地下室で眠りから目を覚ます。目覚めた十二の前にいたのは遠夜(とおや)と名乗る人間の少女だった。シャミの“友達”を称する遠夜は、シャミの行方を探る吸血鬼たちから狙われていた。十二は遠夜の警護を引き受けることになるが……。
東京を舞台に、吸血鬼グループの強者たちすべてが絡み、衝突することになるストーリーは、さながらギャングの抗争めいた色合いを帯びます。特に圧倒的な存在感を誇るキャラは、登場した瞬間に他の強者すべてを沈黙させる、“女王”と呼ばれる新宿グループの長。俗っぽい外見と超越的な中身のギャップがすごい。
人間なら死に到るほどのダメージを負っても、普通に復活できる回復力をもっている吸血鬼たちですから、バトルシーンでは、肉を切らせて骨を断つというか、体が潰れても敵を倒すこと優先、という感じの豪快かつハードな戦闘が繰り広げられます。登場する地名も基本的には実在するもののみ、決戦は新宿御苑。現代の東京の闇に潜んでいるかもしれない吸血鬼たちの生き様を、ぜひ目に焼き付けて下さい。