2018年3月24日土曜日

恒例ダイレクトマーケティング回! 第3回ジャンプホラー小説大賞銀賞『自殺幇女』『散りゆく花の名を呼んで、』

今晩は、ミニキャッパー周平です。いよいよ発売されました、第3回ジャンプホラー小説大賞の2冊、ともに銀賞受賞作の『自殺幇女』『散りゆく花の名を呼んで、』。そこで今回は恒例(?)のダイレクトマーティング回です。

まずは、私が担当編集をつとめました、小説:尾北圭人、カバーイラスト:カオミン『自殺幇女』から。


大学生・早乙女境輔(さおとめ・きょうすけ)は「墓場で首を吊る悪夢」に悩まされ続けていた。折しも、彼の住む魂香町(こんごうまち)では、自殺と他殺両方を含む連続首吊り死事件が発生しており、その背後に「自殺契約」を結んで契約者を死に追いやる女「自殺幇女」が存在するという都市伝説が囁かれていた。早乙女は、偶然出会った「自殺コンサルタント・ヒラサカコヨミ」と名乗る女が、一連の事件の犯人でないかと疑う。誤解から彼女との「自殺契約」を結んでしまった早乙女は、死へ誘う魔の手から生き延びることができるのか?

本作品の一番の魅力は自殺コンサルタントことヒラサカコヨミの強烈なキャラ性。表紙で見る限りはややクール系の表情の彼女ですが、よく見れば瞳の奥はぐるぐるに渦巻いています。彼女は死を考える人間に、愛想よく親しげな笑顔で近づき、警戒心を解かせたら「自殺契約」に持ち込む、という食虫花みたいなヤバい存在なのです。仕草や表情、丁寧な口調や物腰の柔らかさなどの「可愛らしい」顔と、捻じれた倫理観で他人を自殺へと導こうとする「恐ろしい」顔。そんな二面性が発揮される彼女から目が離せなくなること必至です。古い怪談の絡む「首吊り事件の謎」を解き明かすという、ミステリ要素もお見逃しなく。

もう一冊は、小説:鳥谷綾斗、カバーイラスト:紺野真弓『散りゆく花の名を呼んで、』。


母校の高校に教育実習生として赴任した大学生・鹿住未来(かずみ・みら)は、他者の心や記憶を読むことのできるサイコメトリーと呼ばれる超能力の持ち主。彼が能力を用いて電車内で助けた少女は、偶然にも実習先のクラスの生徒・恵田桜香(えだ・ほのか)だった。彼女が所属するホラー映画研究部の活動を見学し、生徒たちとの距離を縮めていく未来だったが、やがて部員が変死体で発見される。犠牲になる生徒は一人また一人と増えていき……それは、彼女たちがかつて行った奇妙な交霊術≪キラズさん≫の起こした呪いなのか。

こちらは学園を舞台に「呪い」が猛威をふるう作品であり、罪もない生徒たちが次々犠牲になっていくサスペンスフルな展開でぐいぐい引っ張っていきますが、同時に、教育実習生である未来とその生徒である桜香、その二人の関係性がどのように深まっていくのか、という「心の動き」にも要注目。極限状況の中で、桜香を守りたいという気持ちを募らせていく未来の願いは叶うのか――過去の闇から暴き出されていく「呪いの正体」とともに、「想い」の結末も見届けたくなること必至でしょう。等身大ながら繊細な関係性・心情描写に、登場人物一人一人の悲しみや苦しみに感情移入させられてしまう一冊です。

二冊とも、試し読み、欅坂46の石森虹花さんの推薦コメント、書店員の方の応援コメントをJブックス公式HPで公開中。ぜひご一読ください‼