あけましておめでとうございます。ミニキャッパー周平です。
本年も、ジャンプホラー小説大賞を盛り上げるため、様々なホラーを紹介して参ります。
新年一発目なので、今回はとびっきり破壊力の高い作品を取り上げましょう。
お題は、倉阪鬼一郎『殺人鬼教室 BAD』。
これまでご紹介したホラーのなかでも一番過激な――映画だったら間違いなく、R-18になるようなものです。
という訳で本日のブログは、18歳未満と、心臓の弱い方は閲覧注意。
とある学園での「歴史」の授業中……教師は、「昔の刑罰の実験」と称して、男子生徒をいきなり電気椅子に座らせる。
しかし、男子生徒は期待に満ちた顔で処刑を迎え入れ、クラスメートたちは興奮と歓喜に包まれてそれを見守る。電流が流され、彼の死が確認されると、クラスメートたちは一斉に拍手する――この異様なシーンから始まって、
「体育」の授業では老人の首に縄を掛けて引きずって競争し、「音楽」の授業では死者の断末魔をもとに曲を作る、などなど。
もの凄くエグい内容が、生徒の一人である主人公の視点から、何の疑問も差し挟まれないまま語られていく。なぜなら、この学園では「死は最大の快楽である」と教えられているから。
「死」に対する扱いが異常なばかりでなく、「性」に関する扱いも普通ではない。この学園では場所も時間も問わず、あちらこちらで、多人数での性行為が行われている。だが、誰もそのことに疑問を持っていないどころか、奨励さえされている。なぜなら、死と性の快楽こそが神への奉仕になると信じられているから。
このセックス&バイオレンスな、倫理観がぶっ壊れた学園は、世界は、一体何なのか……という、読者が当然抱くであろう疑問、謎の追求こそが、本作品の核となります。
ただし、その道のりも並大抵のものではありません。この社会に疑問を抱いた人間は、秘密裏に消されるか、公開処刑されてしまいます。世界の秘密を知ろうと冒険に出かけた少年は、瀕死の状態で帰り着いて、今際の際にたった一文字「G」と書き残して死亡。主人公たち<世界の秘密>研究会の面々も、次々に惨たらしい死を迎えます。
非道徳的な光景が次々に現れるおぞましい内容である一方、ディストピアとの対峙、世界の秘密を暴こうとする若者の冒険、という非常にまっすぐなドラマが根幹にあることは見逃せません。「恐怖」と「愛」の感情を禁じられたこの世界で、冒険の果て、主人公が最後に手に入れるものは……? 主人公の想いに、心を揺さぶられること必至のラスト。エロスとバイオレンス、あとスプラッターが大丈夫な方にはお勧めです。
さて次回は……と予告したいところですが、何も決まってないので、明日書店をめぐって決めてきます。とりあえずR-18じゃない本で。
(※書影はAmazonより引用しました。)