2016年4月9日土曜日

こんな帯を見たからには買わざるを得ない。


今晩は。毎度おなじみミニキャッパー周平です。担当書籍『殺たんC』『罪人教室』、ともに大絶賛発売中です。第2回ジャンプホラー小説大賞も募集中。

さて、今日も今日とて、書店のホラーコーナーを徘徊していると、本の帯に書かれた、こんな文言が目に飛び込んできました。

「女妖怪vs妻! ぼんくら男をめぐる壮絶なバトルがいま始まる。」

カルト映画の宣伝文句を思わせる、アヤシゲなキャッチコピーに思わず手に取ってしまった本が、今回のテーマ、友成純一「邪し魔」(よこしま)になります。



物語の舞台は、日本でも有名なインドネシアのリゾート地、バリ島。
この地で、ダイビングのインストラクターと売春の斡旋をして生計を立てているのが、主人公の結城良治。しかしこの男、実は相当なダメ人間で、妻が日本にいるのをいいことに、現地人や観光客の女性と見境なく肉体関係を結んでとっかえひっかえしています。あまりに女癖が悪いため、売春街の女性たちが、「良冶を懲らしめて欲しい」と呪術師に頼みこむほど。

そんな彼ですが、悪霊を島から追い払う祝祭の晩に、得体の知れない美しい女と巡りあって、その虜となってしまいます。しかし美女の正体は、サキュバスと吸血鬼と山姥をミックスしたみたいなインドネシアの妖女・クンチルアナックで――と、ここまでのプロットだと、洋の東西を問わず存在する、オーソドックスな女妖怪ものになりそうですが、しかし大変なのはここから。

良治の放蕩癖に業を煮やした妻・恵子(37歳)がブチ切れ状態でバリ島へ到着。真面目で控えめな性格ゆえ、これまで夫の浮気に目をつぶってきた反動からか、アラフォーハイパーヤンデレと化した恵子。彼女は、謎の頭痛に導かれて、夫とクンチルアナックとの愛の巣に猛然と迫っていく。帯の惹句通り、ラスト近辺ではこの世のものとは思えない、妻vs女妖怪のバトルが待ち構えています。アラフォーの執念と妖怪の怨念のぶつかり合い、勝者はどちらか、そして浮気男の命運やいかに。

何しろ諸悪の根源は主人公なので、酷い目に遭おうとも自業自得と言え、コメディめいた疾走感や、一種の爽快感すらあるストーリーです。また、普通のホラーとして読んでも、熱帯の風が吹き渡り、日常生活と霊的なものが混淆する、バリ島のエスニックなムードが魅力的ですし、現地の村人を襲う怪物の気配にはやはり背筋を寒くさせるものがあります。

大型連休が近づいておりますが、ぜひ世の男性の皆さんは、取り返しのつかないことにならぬよう、家族や恋人との時間を大切にして下さい。

(※書影はAmazonより流用しました。)