2016年6月25日土曜日

〆切直前特別号

 今晩は、ミニキャッパー周平です。
 第2回ジャンプホラー小説大賞〆切は30日(木)。ということで、毎週金曜26時公開のこのブログは、ひとまず〆切前ラスト更新となります。この機会にいったいどんな作品を取り上げるべきか? 私が一番好きな雪女ジャンルか。イギリスが凄いことになっているので英国ホラーか。悩み抜いた一週間でした。

 しかし、自分が重大なポカをやらかしていることに、土壇場で気づきました。
 第1回ジャンプホラー小説大賞の受賞作を、紹介し忘れていたのです!
 そう、最後の最後で、まさかのCM回です。

 まずは第1回ジャンプホラー小説大賞の銀賞受賞作、市方谷武志『少女断罪』。こちらは書籍のほか電子書籍でも発売されています。



 その小学校は、子どもたちにとって脱出不能の監獄だった。
暴力や金銭の要求を含むいじめが横行しており、それを解決しようとした教師は、モンスターペアレントの工作によって職を追われた。いじめの元凶に抵抗した、正義感の強い少年は、高校生まで動員したリンチによって、長期入院の身となった。
 そんな「監獄」において、五年一組の教師である坂本一朗は、『子供の世界にかかわるな』をモットーに、自身の目の前で行われるいじめにも見てみぬふりをしながら、偽りの平穏を過ごしていた。
 しかし、虐待を受けたような傷や痣をもつ「白石美星」が一組に転入してきたことをきっかけに、クラスの秩序は壊れていく。そして坂本自身も、かつて彼が犯した「罪」と向き合うことになる――

 応募作の中でも、中学や高校を舞台に、人間関係のトラブルやいじめを題材にした作品は数多く見られましたが、小学校を舞台にして、「教師」を語り手にしたことが、この小説に強いオリジナリティを与えています。生徒たちを俯瞰できる立場にありながら、無力である坂本の視界に映る「子供の世界」は、痛ましく残酷です。臆病であるがためにその悲惨を見過ごし、罪悪感を押し殺そうとする彼の心象描写に、読者は、苛立ちと共感の両方を覚えることでしょう。

 そして、そんな坂本と対極ともいえるのが、みすぼらしい身なりをしていながら、獰猛な光を目に宿し、己の意思に従うまま行動して、強烈な存在感を放つ「白石美星」。この二人の出会いから思いがけないドラマがもたらされ、エモーショナルなクライマックスへと向かいます。

 もう一作。第1回ジャンプホラー小説大賞の銅賞受賞作『ピュグマリオンは種を蒔く』、こちらはWEBで全文無料公開されています。


 浪人生である豆崎空也は、高校時代に片思いしていた相手・入瀬ミサキが失踪したことを知る。空也は必死でミサキの行方を探しているうちに、顔なじみである、花売りの少女・エリサに辿りつく。
「ミサキが死んだ」という衝撃的な事実をエリサから教えられた空也は動揺する。その心の隙をつくように、エリサは、ミサキの命を取り戻す方法として、悪魔的な取引をもちかける――

 まず特筆すべきは文章の力です。知識に裏打ちされた流麗かつ強靭な文体によって、作品自体が幻想文学のようなオーラを纏っています。応募作の中でも、随一の筆力でした。
 また、想い人を蘇らせるために、誘惑に負けて次第に人の道を踏み外していく主人公の姿は、鬼気迫るものです。応募原稿を読んでいる間、徐々にエスカレートしていくその行動から、目をそむけたくなるのに、しかし読み進めずにはいられない、という体験をさせられました。

 というわけで、第2回ジャンプホラー小説大賞の受賞作を本欄でご紹介できるよう、皆様のご応募をお待ちしております!!